八ヶ岳西壁で冬期クライミング④
横岳西壁・石尊稜(冬期グレード1級)に今度は行けたわ
山行日:1997年3月8日(土)~3月9日(日) 1泊2日
参加者:L玉谷和博 坂本多鶴(記)
タイム:赤岳鉱泉5:40石尊稜下部岩壁取付き7:00上部岩壁取付き12:00 石尊峰13:30/40地蔵の頭14;30行者小屋15:00/15赤岳山荘16;30/17:00 太陽館18:10(1日日は入山のみ)
今回は会報部長RINちゃんが岩雪のミックスに初挑戦で阿弥陀岳の北稜に登るぜ!!の巻だったのだが、金曜日の夜から38℃の熱が出たRINちゃんが不参加となり、計画は石尊稜に変更となった。RlNちゃんが思いっきり泣いていたせいか、八ヶ岳はとっても良い天気である。素晴らしい青空の中に浮かぶ山々もそろそろ冬服を脱ごうとしている。もう春なんです。なのに私たちは相変わらず冬の装い。慣れた道をタラタラと歩いて、いつものように赤岳山荘で途中下車してから赤岳鉱泉へと向かう。
今回も朝4時に起床。鉱泉を出ると小雪がちらほら舞っている。昨夜飲みすぎたせいか、朝から4連発でトイレに行ったのにまた行きたくなる。何がつらいって、トイレを我慢するのが一番つらいのだ。ハーネスを一度つけたらズボンは脱げないし、安心してキジができる場所もない。岩登りや雪山で何度もだえたことか。しかし、この日はこれが最終便であとは絶好腸となった。ほっ。
登山道から離れて沢沿いのトレースに入る。今回は順調である。無名峰ルンゼとの分岐まで来ると、前をゆく中高年のパーティに道をきかれた。玉ちゃんは「そっちは無名峰ルンゼですよ(俺に何でも聞いてくれよ)」と非常に嬉しそうに答えていた。2週間前に「ここは石尊稜ですか」と聞かれた時には「わかりませ~ん(俺にそんなこと聞くなよ)」っていう感じだったのにさ。
三叉峰ルンゼに入り岩が見えてきたところで右上して石尊稜に取付く。前回ザイルを出した少し手前(ボロボロの岩の上部)に出た。ここでザイルを1本つけて、下部岩壁まではツルベで登る。
下部岩壁は順番待ちが始まりつつあり、壁の左側も右側も1パーティずつが登っているところであった。ここは左の方が難しいのです。右側が空いたので、そちら側を登ることにしてザイルをダブルにする(他のパーティはみんなシングルで登っていた)。意地悪な玉ちゃんが寒いから早く登ってくれ~、と言ってくれるのでシブシブ登りはじめる。私は今回は北稜だと思って登攀装備を減らしてきちゃったんだぞ。
岩の始まるところで、まずはハーケンを1本うつ。何度かゴンゴン打ち直して一応入ってるという感じになった。このハーケンも私のビレイヤーのはずなのだが玉ちゃんが登った時にはビレイを放棄してブラブラとしていたそうだ。最初と最後がいやだったが、ハーケンやボルトから4箇所ほど支点がとれた。全体的にホールドとスタンスはあるんだけれど、手袋とアイゼンでの登りに慣れていないから、いやなのだ。
2ピッチ目は玉ちゃんがリード、ここで稜線にでる。他のパーティはこの先はノーザイルで登っていったそうで、私たちも真似して、ザイルをとって登りはじめる。まばらに木がはえているのだが、だんだん急になってくるので、ザイルを出してツルベで登ることにする。ビレイポイントはほとんどがダケカンバです。
登って登って稜線の斜面が緩くなってくると、目の前に上部岩壁が見えてきた。下部岩壁で順番を待っていた人たちはもういない。何故って、私たち一番最後になっちゃっているんですもん。この上部岩壁は、岩を登らずに右側のルンゼをトラバースして横岳の稜線に出ることもできるのです。結構クタクタになっている私たちはトラバースしようかと相談するがトラバースってあんまり好きじゃないし、岩壁を登るにも先が見えないために迷いがでる。
そんな時、後続パーティがやってきて岩を登りはじめた。さらに何パーティかが登ってくる。急に安心感がわいてきて岩を登ることにする。ザイルをダブルにして、玉ちゃんがリード。ガイドにはかぶった所があると書いてあったがないようだ。凹角を登って稜線伝いに登り、いったん雪の斜面を登る。2ピッチ目もほとんど稜線伝い。程よくガバもあるので、下部より優しい感じがする。ここまで登ると、左上に見えるのが石尊峰だ。ザイルを再び1本にして、雪の斜面を2ピッチ登って登攀終了。
ずっとガスっていて時には風も吹いたけれど、今は穏かな青空がひろがっている。登れてよかったね。石尊峰とわかれて、地蔵の頭を目指す。あとは全く夏道どおりです。眼下に見える行者小屋を目指して地蔵尾根を下りクタクタな状態で美濃戸口を目指して帰った。なんで、こんなに疲れるんだ。
前回も今回も思ったけれど、もっとアイゼンの練習をしないとダメだな。さらに冬期クライミングというものをもっと経験しなければ。今は余裕の気持ちが持てないから、楽しむというよりも、ひぇ~何でこんな所を登らないといけないんだよぉ、とか、ここまで来たら登るしかないんだよなぁっていう感じなのだ(玉谷くんは違うかもしれないが)。もう少~し経験が増えて雪稜をスピーディーに登れるようになったら、もう少し面白くなるかもしれない。あとは雪稜でザイルを引き上げる時に腰が痛くなってしまうのをどうしよう。玉ちゃんも言っていたが、重いのです。そのザイルはちょうど一年前に阿弥陀岳の北稜に登ったあとに買いました。1年間でだいぶ使ったって感じでず。春からは岩登りになるので、こいつは冬用にして新しいのを買う予定です。
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