一の倉沢烏帽子沢奥壁 中央カンテ(4級下 IV+,A1 420m)
1999年5月22日(土) 前夜発日帰り L坂本多鶴(記)、玉谷和博
上野駅22:30(上越新幹線)上毛高原駅23:37(タクシー約10000円)一の倉沢出合24:30/5:10テールリッジ上部6:40/7:10取付7:05/30懸垂岩11:00/30一の倉岳13:40/14:00トマの耳15:10天神平16:10(水上からJRで松戸へ)
谷川岳での岩登りは96年6月に吉尾さんに連れていってもらった南稜、97年8月に難ルートに迷い込んだ中央稜敗退、そして98年7月のザイルの仲間での南稜の3回だけ。2年かけて南稜しか登っていないのである。昨年は天候がイマイチだったせいもあり、自分達の計画は潰れてザイルの仲間山行しか登れなかったのである。昨年の夏は穂高もそうだし本当に悪かったですよねぇ…。
電車利用の我々は新幹線とタクシーで出合へ。いつものように出合の右側にテントを張ろうとしたが、道路が半分崩れ落ちてるし雪渓はすぐそこまで伸びているし、暗闇での移動は危ないので駐車場に幕営した(幕営禁止です、ごめんなさい)。道路は昨年の豪雨で崩壊、出合のトイレは今年の豪雪で潰されていた(仮設トイレあり)。雪渓は出合よりかなり下部まで伸びていたので、幕営する時は念のため水を持参した方がいいかも。
朝は4時起床。予想に反して沢水が取れなかったので、前夜買ったポカリの残り300mlをわけて飲み、つまみ用のイカゲソとプチトマトなどで朝食終わり。テントの外に出ると青空の中に聳える一の倉沢が男らしくてカッコイイ。雪渓を登ればテールリッジ。上部の岩の逆層は昨年はフィックスロープがあったが、今年は残置シュリンゲが1本あるだけだった。テールリッジ上部(中央稜取付)まで快適に登り、ここで登攀準備をする。
我々の目指す中央カンテの取付きは中央稜をまわり込んだ先のバンドです。凹状岩壁を登る1パーティが登攀準備をしていた。2人のうちの先輩にルート情報を聞いて登攀を開始する。
1ピッチ目は坂本から。バンドを右にトラバースし、フェースに出たら直上。難しくはないのだが、岩がはがれそうなので神経を使う。2ピッチ目はフェースを左上して凹状壁の左まで(ここまでは凹状岩壁とルートは同じ)。3ピッチ目はバンドを左上してカンテに出る。4ピッチ目もカンテだ。5ピッチ目はチムニーからフェースとガイドには書いてあるのに、「あのチムニー登ってまたカンテに乗るんだったら、カンテ沿いに行った方がいいよねぇ」なんて取付いて、脆くてハーケン錆錆で緊張しながら上部でやっとチムニーに合流した。
6ピッチ目は左にまわりこんでからフェースを右上。上部に出るまで支点が少ないのでルートファインディングに注意。7ピッチ目は3m程のかぶりぎみの岩の右に抜けるのだが、その抜け口のバランスが悪い。ここでアブミを1台使用。その次のクラックは長い残置シュリンゲがぶらさがっている。レイバック気味に登り右上の突起ホールドをつまんで越える。4畳半テラスと言われるビレイ点は2畳くらいか?8ピッチ目は正面に見える凹角内のクラックを登り、9ピッチ目はスラブから凹角を登った懸垂支点まで。10ピッチ目は1段上がってバンドを巻き込みながら左上。ここで烏帽子岩の基部に到着する。
11ピッチ目はその基部を左にトラバースし、非常に脆いルンゼを登って残置シュリンゲが見えたらその左上にビレイ点がある。12ピッチ目は笹ヤブの踏み跡を懸垂岩の基部まで。ここで登攀終了。岩の難しさより、岩の脆さが恐かった。ホールドやスタンスだけでなく、ロープが擦れて落石しないように、ロープを引っかけて岩をはがさないように、と神経使いっぱなし。ロープワークや登り方が雑な人は入らない方がいいと思う。
この日は一日中晴れが約束されていたので、国境稜線を目指すことにする。懸垂岩からは笹ヤブの踏み跡を左上して支々稜に出たら左へ。5ルンゼの頭でまた1ピッチの登りがあり、一の倉尾根に合流。踏み跡から岩稜を越えてしばらく、畳岩っぽいのを越えると稜線までは笹ヤブなので登山靴に履き替える。時には顔まで伸びる笹を掻き分けてやっと稜線上の登山道に到着。3月は全く雪だった道をふうふう言いながら歩き、冷た~いジュースを思いっきり飲むために天神平を目指す。
トマの耳で登りが終わってからはピッチをあげる。木道になってからは小走りで急ぐ。天神平でまず1本。ロープウェイで降りてもう1本。水上駅でまた1本とビール。そして車内でお酒。喉カラカラ。
久々の岩。さらに谷川で初めて稜線まで抜けたのでとっても充実した。5月に入ってから三つ峠で登った時は何だかイマイチ調子が出なかったのだが、今回のルートはⅢ級から始まりだんだんと難しくなってくるので岩慣らしも出来て良かった。今年も登るぞ~って思わせてくれる良いルートでした。
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