「のんべえはザルをめざす」
5/20~21 南アルプス笊ヶ岳(2629m)
メンバー:L.玉谷和博(記)、SL.坂本多鶴 佐藤 江原 野崎
秘境の山旅。南アルプス南部周辺には、そんな言葉がぴったりの魅力的な山がまだたくさんあります。農鳥岳から山伏へと続く白峰南嶺や光岳から南へのびる深南部の山々は、アプローチが長く道が不明瞭(あるいは無い)、山小屋も無いし水場も少ない。濃い原生林の山稜が続き、ルートを探しながら歩くという冒険的な山行が楽しめます。その中でも笊ヶ岳は、比較的楽に(?) シンナンブの雰囲気を味わえること、と「南アルプス連峰の超一級の展望台」ということから気になる山でした。
5/20 新宿0:02=(JR)甲府2:26(仮眠)5:33=(JR)身延6:42/6:55(タクシー)老平7:28/7:38 広河原9:28/9:50 桧横手山14:10/14:30 布引山17:30(テント泊) 晴れ
お茶摘みを眺めながら奥沢谷ぞいに歩きだす。笊は体力勝負の山。今日は標高差2100m、約10時間の急登が続くハードな予定だ。流木の丸木橋を渡り、広河原で水を各々4リットルずつ汲む。ここから先、水場はない。山ノ神まではブナの新緑や花を楽しむ余裕があったが、カラマツの植林帯の中すぐに急登になり、これよりずっと高度計だけがお友達状態のニラメッコが続く。やがてシラビソとふっかふかの苔のジュータンに覆われた原生林の中、桧横手山へ。そして又ひたすら急登。ルートは残念なことにプレートも多くはっきりしている。これでもか~というような急登に、もうやめてくれ~と叫びたくなる。へろへろ状態で布引クズレにでると涼しい風とともに・・・聖だ!赤石だ!次々と見えてくる南ア主脈の美しさが疲れを忘れさせてくれた。テントはタップリと雪が残る布引山ピークに張った。「よく歩いたよね」と幸子サン。富士山を眺めて、多鶴ちゃんが担ぎ上げてくれたビールで乾杯、ぐびりぐびり ぷひ~。夜はいつものように酒宴で江原サンのブナ論からキジ談議、山や会への夢へと話はグルグル回り夜空へ飛んでく。夢見る女性は美しいのです。
5/21 布引山5:45 笊ヶ岳7:25/7:48 布引山9:20/9:58 桧横手山11:12/11:25 広河原13:4
0/14:10 老平15:52 馬場16:02(入浴) 16:45(タクシー)身延17:15/17:30=(JR)富士18:48/20:10=(JR)松戸23:30 晴れ
腐った雪がうるさいので朝からスパッツをつけて歩く。大笊、小笊の双耳峰を見ながら1時間40分ほどの稜線歩き。ハイマツの藪を漕ぐとまもなく笊のピークに出た。おおっ!すげぇ…。ぐるり見渡すかぎりの大パノラマが。北から、鳳凰三山‐白峰三山‐仙丈‐塩見‐荒川三山‐赤石‐聖‐光‐池口岳‐不動岳‐黒法師岳‐大無間、小無間山‐山伏・・・そして小笊の上にポッカリ浮かぶ見事な富士山。笊ヶ岳に登るのは残雪で南ア主脈が一層美しい、この時期が一番イイ。飽きることのない大展望をたっぷりと楽しんだあとは、ただひたすら下るのみ。走るトップ、ゼッコーチョー野崎さんが吠える…。
そして、2日間で20時間歩き、満腹の充実感とボロボロの疲労感をもって笊は終わった。一同いわく「個性的で登りがいのあるすっごくいい山だった、けどもう2度と来ないだろうネ」。
(費用)
松戸~身延(JR) 3500、身延~老平(タクシー) 7440÷5、ビィラ雨畑(入浴) 300
馬場~身延(タクシー) 7620÷5、身延~富士(JR) 800、富士~松戸(JR) 2880
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