北岳バットレス 下部フランケ~dガリー奥壁
L坂本(記)、SL玉谷 1998.9.12(sat)~13(Sun) 前夜発
11日 新宿駅23:50
12日 甲府駅2:08/2:20(タクシー)広河原3:30/4:00 下部岩壁7:50/8:30 下部フランケ9:30~12:00 dガリー奥壁13:00~16:30/17:00 肩の小屋17:40
13日 肩の小屋7:00 広河原ロッジ10:10
ザイルの仲間山行に続き、今週も北岳バットレス。広河原は先週よりも暖かく、いつもの夜道をヘッデンつけて歩き始める。途中、ぷ~んと酒臭い登攀パーティに追い抜かれるが、それが消えると、また山のにおい。だんだん夜が明けて、まわりの景色が見えてくると、我々のバットレスも姿を現してきた・・・。
下部岩壁は第五尾根支稜を登る。今回は船橋の飯塚くんを見習い、マイク付き無線機にしたので、離れたコールもばっちり。この支稜は簡単なフェースなので中間支点は少ないが、2P目はブッシュが使える。稜上に出てなだらかになったら終了だ。dガリーをトラバースして凹角に来ると先程のぷ~んとしたパーティに出会った。「ビラミッドフェースを登る予定だったのですけど、ルート図を忘れたので後ろを登ってもいいですか?」と聞かれる。「いいですよ!」と玉ちゃん。念のためにルート図もあげた。下部フランケまではあと50mほど。凹角を直上すると横断バンドに出る(このバンドを右にまわリこむと第4尾根の下部)。ここまで1ピッチと少々。
<下部フランケ>
いよいよ下部フランケの登攀開始。まずは坂リード。3mほど登り、スタンスの高いフェースを登るのだが、最初の支点に手が届かない(玉ちゃんは届く)。この支点にかけないとグランドフォールしてしまうので、ハーケンを打ち足して、アブミを使う。この後のフリーは上部の支点が遠くていやらしい。右にトラバースした所でビレイ解除。次は玉リード。凹角内のハングを左に巻き込みクラック沿いに直上する。続いて坂リードで快適なチムニーから凹角。ここはハイマツ?で確保支点をとる。玉ちゃん見えないので無線で「ビレイ解除」。「解除したよぉ~」、無線機の声と生の声とダブルで聞こえる。いらないじゃん、玉ちゃんは。あっという間の最終ピッチはチムニーからフェースを玉リード。途中にピラミッドフェースのルート図が落ちていたので、後ろのパーティに教えてあげると、「読みました~」。下部フランケは私がすご~く登りたかったのだが、思ったより簡単で楽しく登れるルートであった。アブミは身長の低い人のみ必要(私は153cm、玉ちゃん170cm?)。
次はdガリー奥壁に向かうため、バンドを左にトラバースする。岩壁に土がポコンとのった細いバンドは、踏み抜きそうで恐い(スト~ン、あれぇ~、という感じ)。ハーケンは少し先なので1本打つ。意外に足先が奥に入り、ホールドもいい感じにあったのでホッとしていたら、ラ~クッ!上部フランケから大きな落石があった。こえ~(@o@)。すぐ先がビレイ支点なのだが、またラクがあったらどうしよう、と思うと進むのが恐い。でも、庇状に大きな岩があったので、その下でビレイ。後ろのパーティは上部フランケに行くそうなので、ここで先に登ってもらう。我々はガリー沿いに2ピッチ登ってdガリー奥壁の取付きへ。清水労山の6人2パーティが取付いていたが、我々が来たせいか1パーティは右のガリーから登って、順番をゆずってくれた。ありがとうございます。
<dガリー奥壁>
1P目は3段の小ハングから。つるべの順番からすると玉リードなのだが、私には古川ルートの借りがあるので坂リードになる。1段目は両手ともガバをつかんで足をこじあげる。2段目は右側をまき、3段目は右手でカチがつかめたらいただき状態だ。乗っ越すとつるんとしたスラブの中の細いクラック。支点がないので、ナッツとフレンズで支点をとりながらバンドへ。ここでセカンドの玉ちゃんが引っこ抜いたナッツを目の下にぶつけてしまった。バンドエイドを貼った姿は誰かに殴られたようだ。
2P目もその続くクラックを玉リード。クラックで足先が痛いと言いながら、支点の少ないピッチを登っていく。 3P目は坂リード、 Ⅲ級のスラブ。直上のスラブはⅣ+ぽいので、右側の簡単な所を登る。
4P目はチムニー右のハング気味からフェース、玉リード。ここは乗っ越した後から支点がなく、落ちると5~6mいってしまう。玉ちゃんが丁寧に丁寧に登っていく。やっと1本打ち足してホッとすると、その先は支点も出てきた。最後のピッチはチムニーを坂リード。結構広くて、ザックと手足で突っ張るような感じだ。支点も2本あり、最後は両手ガバで攀じ登った。
ここでdガリー奥壁終了。あと1ピッチザイルを伸ばして、登攀終了とする。このルートはハング、フェース、クラック、チムニーなど色々な要素がつまっていて、面白かった。ここだけ登っても充分楽しめると思う、非常にお勧め(^・^)☆☆☆。なお、ハーケンは全て回収しましたが、ナッツを1個残置してしまいました。何で私のなんだよ。
16時30分、登攀終了。後半は待ち時間や狭いクラックで足が疲れたが、快適な登攀ができた。周りの山々もきれいに見えている。あとは乾杯のビールだって、小屋へ向かうと、稜線に沈むタ陽を見ようと、たくさんの登山者が外に出ていた。RINちゃんもそのルートだけに真っ直ぐにならずに、色々なものを跳めようよ。