明星山P6南壁 左岩稜
2001年10月7日(土)~8 日(日) 1泊2日 L:坂本多鶴(記)、SL:玉谷和博
そろそろ岩のシーズンも終わりだなあ、明るい岩を登りたいなあ、ということで今回は明星山。雑誌クラミングジャーナルでは、特集「アルパイン・クライミング入門」にて、左岩稜を登りながら技術などをマスターしてしまおう!というカラー写真付きのページが載っている。玉ちゃんが会報によく書いている「行くぜ!」「オウ!」とか、「ガンガン行くぜ~!」という吹き出しもあり、もしかしたら影響されているのかなぁ…。
ところで、明星というと長谷川恒男たちの同人「星と嵐」のイメージが強かったんだけど、彼らによる開拓は70年代の初めで、明星山南面の初登攀は1961年に佐内順による東壁ルンゼであり、P6南壁の初登攀は1966年の黒檜山岳会による左フェースルートなのだそうだ。今回、初見参の我々はP6南壁の入門ルートである左岩稜を登ることにした。
6日(金) 新宿駅23:50(急行アルプス)南小谷駅6:04
今月3度目の急行アルプス。10月も終わりに近づくと、急行アルプスに乗る人たちもだんだんと減ってくる。しかし、今回は初めて終点まで乗るし、登山未経験の地におもむくので、知らない人に会いにいくような気分で少しドキドキという感じである。とりあえずグッスリと眠れるように、ビールの他にワンカップも買い込む。
7日(土) 南小谷駅6:35(大糸線)小滝駅7:04(タクシー6000円)ヒスイ峡キャンプ場8:20(仮眠)10:15 左岩稜取り付き11:15 終了点15:15 キャンプ場16:30
終点の南小谷駅はこじんまりとした可愛らしい駅。ここからはワンマンディーゼル車になり、乗る時には自分でガラガラとドアを開かなくてはいけない。ドアの前でしばらく待っていた我々は自動の世界に慣れすぎちゃっているのかな。初めて乗る路線に緊張しながら、次は○○駅だねって確認しつつ小滝駅に到着。ガラガラとドアを開いて降り、降りたあとにも念のために手で閉めておいた。ここは新潟県だけど、富山と長野との境というような場所だ。駅は無人(星と嵐が開拓していた時期には駅長も駅員もいたようだが…)、景色の中にはすでに明星山がド~ンと見えている。
予約していたタクシーに乗って初めての世界へと出発。ヒスイ峡に直接入る道は大きな岩が落ちそうで通行止めになっているため、南側から回り込んで高浪の池経由で入っていく。なだらかな山容の中に聳える明星山はかなりカッコよく (イメージとしては三ッ峠屏風岩を5倍くらいにした感じ)、紅葉もとてもきれいで、こんなに素敵なところがあったんだなあ、何で今まで来たことがなかったんだろう…と思ってしまう。あたりの様子がわからなかったので、運転手さんに登山道入口や岩場への下降点となる展望台の方にもまわってもらって、やっと様子がわかってきた。この日幕営する予定のキャンプ場はガイドには無料と書いてあるが、今は1泊1張り700円でした。トイレも水洗紙付きで、炊事場もあります。
やっと到着したものの結構クネクネ道だったのでタクシー酔いしてしまい、テントを張ってしばらく横になる。9時になったら起きようと思っていたのに、起きたら10時。テント場のおじさんに「展望台の裏に重機が通った道が出来ているからそこから川に下りるといいよ」と教えてもらい、急いで出発。テント場から展望台はスグ。小滝川対岸の南壁には左岩稜に2パーティ。左フェースに1パーティが取り付いているのが見える。教えてもらった道を下降して石の上を歩いて対岸へ渡り、トカゲに最適な岩の上で登攀準備する。
見上げると先行パーティのセカンドがA1のピッチで苦労している。11時も過ぎてしまったので、今回は山頂まで行くのは無理そうである。取り付きは草付きを右上した所。この草付きもザイルを出したほうがいい、と書いてあるガイドもあったのに、玉ちゃんがトコトコと登ってしまったので、仕方なく後をついていく。濡れると滑りそうであった。
いよいよ登攀開始。
1ピッチ目は坂本(20m、V-)、短いかぶり気味の岩を登ってバンドを右に回りこんだところまで。左岩稜はルートの上部を除き、全体的にホールドやスタンスがしっかりしていて、人工壁を登っているようなムーブで登れる。
2ピッチ目は玉ちゃん(30m、Ⅳ)、凹角を登って外傾バンドを右に少しトラバースし、また凹角を登って左上する。
3ピッチ目は坂本(20m、A1)、外傾バンドを左上してボルトラダーを登る。私でもクリップしやすい間隔であった。
4ピッチ目は玉ちゃん(30m、V・A0)、スラブから前傾の凹角を登りきったところまで。しかし、この壁にはテントウ虫、カメムシが水玉模様のようにたくさんついている。ホールドを探ったり、キョンもどきするカメムシもいて笑える。
5ピッチ目は坂本(30m、Ⅲ)、凹角を登りバンドを左ヘトラバースしてカンテまで。
6ピッチ目は玉ちゃん(40m、Ⅲ+)、カンテ沿いに登っていく。もう中間支点もほとんどないので、ザイルを伸ばせるところまで、という感じになってくる。ここから2ピッチで大岩まで。さらに1ピッチ半で終了点。7ピッチ目以降はブッシュも出てくるので、ノーザイルで登っちゃう人もいるんだろうな。
下降路の目印となる松の木は終了点から良く見える。松の木に向かって踏み跡をトラバース。そこからは赤布や赤テープに導かれて踏み跡を下降していき、小沢沿いになったら川は近い。クライミングジャーナルでは鉄管の上を歩いて川を渡っていたが、歩いていいのかな…という感じがしたので、川を渡渉して対岸に渡る。
テント場に戻ると予告通りにキジ坊が来ていた。ホッ。今回は富山に帰省していたキジ坊が差し入れしてくれる、という事でお酒は持って来なかったので(来れなかった場合のために非常酒を持っていこうか…とも思ったが)、ひと安心。刺身、焼肉、立山、ごっちゃんです。キジ坊は手術後なかなか体力が回復しなかったそうだが、徐々に戻ってきているとのこと。次回は一緒に登ったあとに飲めるといいねぇ。
8日(日) キャンプ場8:30 十郎の湯10:00/12:00 豊科駅12:57 松本駅13:19/54(スーパーあずさ)新宿駅16:36
キジ坊にお~いと呼ばれて起きる。朝ごはんは明星ラーメンでしょ、やっぱり。今日は曇り空のち雨。白馬の温泉500円に入って、豊科駅までキジ坊に送ってもらい、飲み直して帰った。
初めての明星、天侯も景色も素晴らしく、楽しいクライミングが出来た。本当に素晴らしくきれいなところ、別天地です。次は直上ルート、その次にはフリースピリッツが登れるといいな。次回は頂上にも抜けようぜ。しかし、明星山は石灰岩なので、ツルツルのイメージだったんだけど、カメカメカメムシでした。
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