2006年5月3日(水)〜7日(日) L.坂本、SL.玉谷
5月3日(水) 三倉岳へ
東京6:20(新幹線のぞみ)広島駅10:40(レンタカー:国道2-県道30-42-460-289)三倉岳キャンプ場12:30
初めて広島へ。もちろんクラッククライミングが目的である。三倉岳は標高700mほどだが、3つの岩峰からなり、広島山の会の林泰英氏らによって、'70年代後半にクラックルートを中心に開拓された。
『ヨセミテから帰ってからは毎週のように三倉岳通いが始まった。「まず良いゲレンデという場をつくることからやらねばならなかったんです。クライミングするには、いい場といいルートがなくては。これがあれば、いいクライマーも育つと思いますよ」・・・まず既成ルートのグレードをデシマル方式に切り換えた。・・・日本ではかなり早い導入である。・・・次に林の<クライミング哲学>に基づき、チョークなし、フレンズなしで開拓した。・・・「フレンズは余りにも機械的すぎます。・・・日本ではナッツ、ヘキセントリックの使用を充分にやらないまま、フレンズが入ってきてしまったのです。」』(クライミングジャーナル10号「三倉の石を持って眠れ! 林泰英のフリークライミング」より)
途中マックスバリューで買出しをしてキャンプ場へ。三倉岳の手前の山にも岩峰がある。三倉岳が視界に入ってきた。素晴らしい!
昼飯も食べずに岩場の偵察に行く。各岩場は2本の登山道Aコース、Bコース沿いにあったり、登山道から踏み跡をトラバースするが、驚くほど近い。AコースとBコースもトラバースすればそう時間はかからない。
偵察の途中、岩国のAさんより、「初めてならモアイクラックとヒップクラックがいいよ、そう言えばモアイは5.13が登れる遠来の人が登れなかったなぁ・・・ヒップクラックは核心を2時間かけてやっと登った人がいたなぁ・・・」などなど情報とともに色々な話が飛び出してきた。
この日は4時起きだったので、夕方頃に昼夜食を食べてそうそうに就寝。
ところで、このエリアは県立自然公園なのだが、キャンプ場は無料でテントサイトも木枠で整地され、おまけにテーブルとベンチ付きで1サイトと、かなり快適であった。炊事場と水洗トイレもある。水は山の水なので、生水は飲まないでくださいと書かれているが、飲んでも大丈夫そうだ。また一応キャンプエリア内への出入りは9~17時になっている。
5月4日 源助崩れへ
寝すぎて9時30分に出発。登山道Bコースの六合目まで登り踏み跡を右にトラバースして登りきると、美しい岩が!さらに誰もいない・・・。そして、ここまで1時間もかからない。
今回はリード&フォローで登ることにする。玉ちゃんがモアイクラック(5.9、25m)を登る。上部が核心。花崗岩は結晶が荒いのでフリクションは効くが、滑るとすぐに傷が出来て、早速玉ちゃんは血を流す。
続いて、私がヒップクラック(5.9、30m)を登る。下部はヒップ状にトラバースするがかなりランナウト。ここも上部が核心。オフィズスでもがき私も血を流す。最後にはバルタン方式でなんとか這いずりあがったがクタクタ。これが三倉の全身を使うクライミングか・・・。
私たちが登っているときにちょうどAさんが来られて、次はAコースフランケのまむしクラックとチビリノクラックがいいよ、と言われる。しかし、二人ともクタクタ、喉はカラカラだ。明日登ることにして14時頃撤退。
この日も何故か昼食食べず・・・マックスバリューで焼肉セットを買って昼夜兼用食、早めの就寝。
5月5日 Aコースフランケへ
9時に出発。登山道Aコースの七合目から踏み跡を右にトラバースするとスグ。
先に京都の方がチビリノを登られていたので、私がまむし(10a、20m)を登る。ここはクラックが途中から2本にわかれるのだが、右にいったり左にいったりと面白い。しかしテン山で傷だらけ。抜け口がまたオフィズス。2時間近くかかり、登り終わったときにはクタクタ。玉ちゃんが登ろうとしていたチビリノもあいたが、ギャラリーがたくさんいるので明日に持ち越し。昨夜犬にあげた残りのパンを食べて昼過ぎに下山。
岩倉温泉で風呂に入り(370円)、この日も焼肉セット。Aさんから今日はどうでしたぁ・・・と聞かれて報告。「明日はぜひモスクラックを登ってくださいよ」と言われる。
5月6日 Aコースフランケのあと青白ハングへ
天気は午後から下り坂のようだ。8時に出発。昨日の宿題、チビリノクラック(10a、20m)を玉ちゃんが登る。下部でちょっと試しテンションしてしまったのだ残念だが、核心部はノーテン。
六合目までいったん下り、Bコースへトラバース。京都の人が話していた兵隊クラックでも登ろうか、とBコース七合目の青白ハングへ移動する。
ここで29日から来ているというクライマーに「モスクラックは三倉で登った中で一番いいクラックでしたよ」と言われ、玉ちゃんの闘志に火がつく。さらに誰も登っていない。「10cあると思って登れば大丈夫ですよ」と言われたモスクラック(30m)はルート図では10aなのだが、10b/cぐらいなのかも。天気は悪くなっていくが、登攀開始。ハンドからチムニーまでの色々なサイズのクラックだ。2時間近くして「やりました~」の声。続けて「雨が降りそうなので早く登ってぇ」。さらに興奮状態の玉ちゃんは「よし来~い!」と何度も叫んでいる。速さ重視でところどころA0しながら何とか登るが、抜け口は非常にいやらしかった。一段奥のラッペルポイントから下降すると同時にポツポツ降り始める。キャンプ場に着く頃には本降りになってきた。
夜間はかなり降りそうなので、この日は車中泊とする。近くのマロンの里で定食を食べて、またまた早々に就寝。
5月7日 三倉岳よ、さようなら・・・
三倉岳キャンプ場(レンタカー:国道186-2)広島駅10:00(新幹線)東京駅14:06
6時頃に出発。行きは山側だったが、帰りは海側から帰ることにする。ここは豊かな町なのか、家の屋根も立派だし、道路もきれいだ。広島市内に7:00に到着で朝マック。8:00にはレンタカーを返して、新幹線で一気に帰った。
面白かった。とてもいい岩場だった。またぜひ行きたい。岩場にいる間、去ってからも、いい所だねぇと話がつきない。今年はまた特訓して来年チャレンジ。長くなっちゃったのでここまで。
先輩が詳しく報告しているので、僕はちょこっと感想を書きます。
「このルートを登るためだけでも三倉に来る価値はありますよ!」と、モスクラックの前でその人が言った。そう言えば親切な地元のA氏も「モスは是非とも登ってください。」と言ってたっけ。これはもう登るしかないでしょ。テン山になってしまったが、素晴らしい。奮闘的なクライミングに飢えていた僕はお腹一杯になってしまった。ハンド、フィンガー、ワイドとクラックの魅力がつまった名クラシックでした。体感グレードは5.10c。(クレイジージャムよりも難しく感じた。)ほかにもハンド、フィストの美しいチビリノクラック5.10a、超ランナウトするスラブのトラバースからオフィズスのヒップクラック5.9などなど。素晴らしいルートがたくさんある。今回はとりあえずイントロダクションとして、いろいろと探検してきたが、また何度も通ってみたい岩場です。次はマルチピッチも登ってみたい。「小川山と取り替えたいなー。」って誰かが言ってたけど、ホントにこんなにも素晴らしい岩場が近くにあったらと思うと羨ましい。今度はみんなで行こうよ!最高にいいぜぇー!
投稿情報: 玉三郎 | 2006/05/08 10:27