甲斐駒ケ岳そして仙丈岳の手前
坂本(L:記)、玉谷(SL)、野崎、太田 計4名
◆1995年3月18日(土) 黒戸尾根を五合目小屋まで <曇り一時小雪>
新宿駅23:50(アルプス)韮崎駅2:26/6:05 駐車場635/7:05 竹宇駒ヶ岳神社7:15 粥餅石10:00 笹の平10:25/11:10刃渡り12:45 刀利天狗13:35 五合目小屋14:55
豪風の音を聴きながら韮崎駅で仮眠。予約していたタクシーに乗り込む。今回の山行は「脱!!初級雪山」のひとつの章の終わり。当初の予定は「塩見岳であったが、先日出かけた権現岳の下り、壮大で崇高な甲斐駒ヶ岳に心を奪われてしまったのだ。出発の夜、山中さんが突然不参加になり、頭の中が真っ白になったが、待ち合わせ場所に向かうにつれてアルピミニミニズムの炎は燃え、タクシーの中では沸く沸くしてきた。
竹宇駒ヶ岳神社で登頂を祈願して出発。先行パーティのトレースがついているが、時たまフカフカの雪に足をとられる登り。なだらかな斜面に笹が見えるようになると笹の平。ここで昼食をとる。ふたたび急登が続いた後、両側の切れ落ちた刃渡りにでる。雪は薄くついている程度だが、鎖をつたいながら慎重に歩く。アイゼン装着の後、しばらくやせ尾根をこえ、黒戸山のなだらかな登りと急なくだりを終えると五合目。その小屋の穴だらけの床にそぉ~っとテントを張る。後続のパーティは七合目に向かっていくが、私たちは明日のために休む。
◆1995年3月19日(日) 五合目小屋から甲斐駒ヶ岳を登頂して北沢峠へ <晴れ>
五合目小屋6:15 七丈小屋7:40/8:00 前回到達地点10:55/11:30 甲斐駒ヶ岳山頂12:12/12:30 六方石13:05 駒津峰13:52/14:10 北沢峠18:17
小屋の裏手からすぐに梯子が始まる。何人もの登山者のアイゼンで削られている。梯子や鎖場の連続する時間を終えると七合目。空は青く甲斐駒ヶ岳の八合目までが眺められる。ここの第二小屋は冬期開放で、まだ新しく快適そうだ。森林限界をこえると、斜面はざらめ雪状態で足場が崩れ、ひどい時は股までもぐる。八合目の鳥居をくぐり、前回雪山教室で到達した地点にやっと届く。しかし、ここから先は未知の世界。下山者に声をかける。「ブッシュの踏み抜きに気をつければ、今までと同じような道ですよ」とかえってくる。さぁ、出発。慎重にと思いながらも顔がにやける。北斜面のトラバースが南斜面になり、ひと登りで甲斐駒ヶ岳の頂を踏みしめる。相変わらず青空だ。山頂で下山の安全と松戸山の会の発展を析願する。しかし、今日の行程はまだ続く。山頂からは岩の稜線を下る。雪のない箇所もところどころある。駒津峰で登りかえし、仙水峠への道と別れる。ところが、その斜面が南斜面にあたるため、雪がグスグスでもぐるもぐる。荷物が重いから足をぬくのが大変。樹林帯に入ってもズポズポ。途中ワカンをつけて、とにかく降りまくった。テントを設営し、ぐったりした細胞たちをひとつひとつ復活させながらも、明朝の早出は無理と判断して6時起床とした。
◆1995年3月20日(月) 北沢峠から仙丈岳をピストンの予定で途中撤退 <晴れ>
北沢峠8:15 一合目8:37 三合目9:53/10:09 五合目11:00/11:20 小仙丈岳12:45/13:00 約3000m地点14:05/14:17 小仙丈岳14:50 五合目15:17/15:26 三合目15:40 一合目16:10
/16:12 北沢峠16:20
遅めの出発。昨日までとは違い、荷物がかるく雪質もよい。ペースはなかなかあがらないが、ゆっくりと歩こうと思う。森林限界をこえると、丸みを帯びた白い稜線。振り返れば甲斐駒、八ヶ岳。カッコ良すぎる。ずうっと続く白い稜線の上を歩く。最後の急登を終えた。仙丈岳がやっと姿を見せてくれたが2時、下山だ。でも、少しももったいないとは思わなかった。しかし、下りは速い早い。アッという間に北沢峠。
◆1995年3月21日(火) 北沢峠から戸台へ下山 <晴れ>
北沢峠7:35 大平山荘7:45 丹渓山荘8:40/9:05 堰堤9:50/10:10 砂防ダム10:26 白岩堰堤10:35 戸台大橋12:05/12:50 高遠13:15/16:20 茅野駅?:??/17:17 新宿駅19:36
甲斐駒ヶ岳と別れる日。木漏れ日の中を下る。ところどころ道が凍っている。戸台川に沿って戸台へ向かう。白岩堰堤で川の右側に渡る。その後、あやまって戸台大橋へでてしまい、近所の方に電話をお借りしてタクシーを呼び、高遠で「うぉ~っ」と解放感にひたった。
◆今回は雪山縦走登山。荷物をかついだままピークを目指さなくてはならない。経験の少ない者にできるのは無理をしないこと。余力を残しつつ慎重に歩くこと。パーティがひとつになること。幸いお天気に恵まれた。甲斐駒ヶ岳が見守っていてくれたのか。雪山は美しい。芽吹きや花の季節も美しいが、その身を包むものがなくなり素肌に雪をまとっただけの山々は、温かくて冷たく、優しくて厳しい。そして、その山を目指す仲間がいることに感謝します。