昭和17/博山房書店
小林隆康が精力的に登攀を展開したのは、1939年から41年までのわずか3年間。谷川岳幕岩Bフェース、一ノ倉沢滝沢下部~滝沢スラブ、甲斐駒ケ岳摩利支天中央壁など8本の重要な初登攀を記録した。本書は、(戦時中の出版ということもあり)鍛錬編と敢闘編に分けて、21才の血気盛んな若武者により激しい筆致で綴られている。戦時中、あまりにも短い青春を岩壁にぶつけた若き岩壁の闘将。自分の存在の証を一冊の本に残して、ひとりの名クライマーは、1943年にビルマで戦死した。享年23才。
写真左が小林隆康。右は、パートナーの森龍(石川龍)。『歩き続けて半世紀』昭和山岳会(1991/非売品)より。
PS;『岩壁登高』にはもう一つの『岩壁登高』が存在する。それは本書出版の前後に雑誌「新ハイキング」の別冊として出版されたもので、本書から抜粋した内容の数10ページ余りの薄い小冊子に同名のタイトルがつけられている。
最近のコメント