昭和56/白山書房
先に紹介した山と渓谷社のシリーズと同じコンセプトで作られたと思われる。関東周辺から上越までの26ルートを400点余りの写真で、取付きから終了点までわかりやすく解説した、白山書房版ガイドブック。2シーズンにわたって取材した最新の情報を掲載している。著者は日本山岳写真集団で登嶺会の荒川紀一。
ありそうでいて、意外とない本である(類著もない)。長年古書店をパトロールしていてもこの1冊しか発見できなかったほどだから、発売当時はほとんど売れなかったのかもしれない。なぜだろうか?版型がA5判と小さく、おまけにモノクロなので沢の美しさや大きさ、迫力がうまく表現されていないせいもあるのだろうか。はたまた、「発見の歓びこそが醍醐味(柏瀬祐之氏談)」である沢登りの世界には、こういったガイドブックの存在は、よけいなお世話・いらぬおせっかいなのかも。
PS;今はハイキング系の出版社になってしまった感がある白山書房ではあるが、初期の頃はなかなかイイ本が多いのです。雑誌『渓流(のちにフォールナンバー)』や『クライミングジャーナル』をはじめ、『奥利根の山と谷』、『山スキーの技術』『谷川岳 クライミング記録集①』『谷川岳大バカ野郎の50年』など…。白山書房の存在が現在の“沢登り”隆盛の源流・きっかけを作ったのは間違いない。ルート図集を世に広めた一連のシリーズの功績も大きい。蓑浦登美雄さん!クライミングジャーナルの復活はないのでせうか?
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