山渓ノンフィクション・ブックスの1冊。副題に「第2次RCCの青春群像」とあるように、1958年に奥山章を中心として結成されたRCCⅡと、その初期に関わった先鋭クライマーたちの物語を、ルポライターの佐瀬稔が生き生きと描き出した好著。1950年代後半から60年代にかけた頃の時代。大学山岳部を中心とするエリートの日本山岳会と、戦後台頭してきた町の社会人山岳会の間にあって、当時の登山界の価値観に反発して先鋭クライマーたちに強烈にアピールし、一大センセーションを巻き起こしたRCCⅡとはいったい何だったのか?
プロのライターが書く山の本はあまり好きじゃないし良書はないと思うけど、この本は吉尾弘さん絡みで読んだので、登場人物がそれぞれ身近に感じられ、また当時の熱気が直に伝わるようでグイグイと読めた。RCCⅡの入門書としてお勧めします。
PS;「山渓ノンフィクション・ブックス」シリーズは全8冊。版を重ねて文庫でも読めるものもあるが、初版のみで店頭から姿を消したものもある。本書のほかには、『狼は帰らず-アルピニスト森田勝の生と死-』佐瀬稔、『ザイルの二人-満則・秋子の青春登攀記-』鴨満則.秋子、『栄光の反逆者-小西政継の軌跡-』本田靖春の4冊は、ぜひ一読すべし。
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