昭和53/ユニ出版
副題は、「初歩から人工登攀まで、その実践的理論と応用」とある。雑誌『山と仲間』に連載されていたものに加筆した、吉尾弘流ヒューマニズムを基調とした岩登りの技術書。山岳会と新人訓練への疑問や、労山へ加入し、岩登りのテキストを作ることを決意するまでの思いとともに、岩登りに対する氏の考え方、技術のすべてが書かれている。
著名なクライマーの手による技術書は多い。『岩登り術』藤木九三(大正14/RCC事務所)、奥山章『ロック・クライミング』(昭和32/角川書店)、松本龍雄『岩登りのうまくなる本』(昭和40/朋文堂)、小西政継『ロック・クライミングの本』(1978/白水社)、遠藤甲太『自分だけの山歩き山登り』(昭和56/経済界)などなど…。こういう本は、テクニックだけでなく、その著者のクライミングに対する個性的な考え方・思想などが読み取れて意外とおもしろい。
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