2002/山と渓谷社
サブタイトルは、「第二次RCCの軌跡」。RCCⅡが最も輝いていた時期は、1958年の設立時から1973年のエベレスト南壁遠征までの15年間と言えるだろう。本書はこの15年間を主に対象にした、回想録・座談会・追悼文・小論・資料などで構成、RCCⅡの活動を一冊に纏めて総括したものになっている。さらに部内誌として発行されていた『RCC時報』1号(1958年)から終刊号の13号(1969年)も復刻、併せて掲載されている。また、本書以外にRCCⅡの登攀記録・研究成果などを個別にまとめたものとしては、『登攀者-積雪期登攀記録集』(昭38/山と渓谷社)、『挑戦者-’65アルプス登攀の記録』(昭40/あかね書房)、『日本の岩場-グレードとルート図集』(昭40/山と渓谷社)、『現代アルピニズム講座 全7巻』(昭43/あかね書房)などがあるので併せて読んでみるとよい。
「スーパーアルピニズムの旗のもとに」関東周辺の先鋭クライマーを集め、アルピニズムを多角的に研究する同人組織としてRCCⅡは誕生した。岩登りは邪道であり、クライマーは異端者だった時代。徒弟的なタテのつながりによって支えられていた山岳会(界)の垣根を取っ払ってしまったこと、と そのアピールは、トップクライマーたちの圧倒的な支持を受けて一大ムーブメントになった。いまの時代と違って、海外の情報やインターネット・携帯電話はもちろん、ルート図やクライミング専門誌もなかった頃の話だ。RCCⅡの存在は、クライマー同志の情報交換の場を作ったというだけでも充分に刺激的なことだったに違いない。当時のそんな熱気が伝わってくる大冊になっている。
PS①;写真中と右は、1号から10号までを合本したRCC時報と、10周年記念特別号で400部発行。予算の都合らしく、11・12号が収録されていない不完全なものだが『異端の登攀者』と違ってこちらはカラー。(表紙のみだけど)
PS②;右は1973年に当時未登だったエベレスト南西壁を目指したRCCⅡ隊の正式報告書。(単行本としては『ああ南壁』藤木高嶺・朝日新聞社刊 がある)この遠征は、RCCにとっても個々の隊員にとっても大きな転機になることとなる。全国から当時の最強クライマーばかり48名を集め、RCCⅡが総力をあげて計画されたが、結果的にはノーマルルートから2名が登頂しただけで、南壁は失敗に終わった。「大組織・包囲法・ノーマルルート」で行われたこの遠征は、「少人数・アルパインスタイル・バリエーションルート」というRCCⅡの主張とはかけ離れたものであり、内外ともにさまざまな物議をかもした。そして、この遠征以降RCCⅡは急激に失速していった。
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