先日、約20年来のつき合いだった「ホエーブス№725」を引越しの整理でヤフオクに流してしまった。買い手が付き、梱包しながら「惜しいことをしたかな…。」と少し後悔した。
学生時代、部室の倉庫にはオプチマス・スベア・プリムス・マナスル・ホエーブス№625などといった共同装備のクラシカルなコンロがたくさん転がっていた。
古かったからなのか、よほど手入れが悪かったのか、重いだけでよく故障してどれもあまりいい印象はない。そんな中で、ゴーゴーと元気な音をあげて格段に調子が良かったのがホエーブス№725だった。
卒業してから数年後、ホエーブスが製造中止になるというニュースを聞いて、一生ものとして購入しておいたのがコイツだった。これはスエーデン製の最終モデルとなった新型の後期タイプのものだ。
その後、2~3度は山に連れ出してあげたものの、EPIやイワタニプリムスなどの扱いやすくて小型軽量のガスカートリッジ式のコンロの登場によってその座は奪われてしまい、以来20年近くも山行に連れていくことはなかった。
思えば可哀相なことをしてしまったものだ。SONYの「mb(ミリバール)」という携帯ラジオとともに、単独行の際には寂しさを紛らわしてくれた心強いパートナーだったのに。
ズシッとくる重厚感、優れたデザイン、他社のモデルを圧倒する存在感と安心感…。今見てもやはりカッコイイと思う。ホエーブス№725は今でもファンの間では高い人気を誇っているらしい。そういう話を聞くと、なぜか自分のことのように嬉しい。
山の道具なのに山に連れて行ってやれないのは残念だったけど、お宝として残しておいてもよかったかな?。ちょっこし惜しいことをしたかな…と、また思った。
ps;よく使う山の道具で「ブス板」というものがあるけど、これは「残念な顔の女性」のことではない。昔、ホエーブスを使う際に、タンクが冷えないように下に敷いていたベニヤ板のことで、焚き火で火を起こす際の団扇代わりになったり、天気図を描く際の画板になったり、まな板になったり、といろいろと重宝したものだった。
ブス板という名前はその頃の名残りだ。コンロのことを総称して「ブス」と呼んでいたことからも解かるように、ホエーブスは多くの岳人たちに愛されていたのです。
1982年当時、雑誌「山と渓谷」に掲載された広告より
EPIもイワタニプリムスも実はすでにあったんですねぇ。知らなかったです。
コメント
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