山道具屋を覘くと、最近では『スノーシュー』なる西洋カンジキがかなりハバをきかせているようですが、実にけしからん。日本人なら、やはり「ワカン(輪かん)」っしょ。
なだらかな雪山でのスノーハイクならばスノーシューはオシャレに遊べるかもしれないけど、本格的な雪山の急登のラッセルには不向きです。その点、ワカンは全長が短いので扱いやすく、さらに、登山靴やアイゼンのつま先やかかとを雪面に食い込ませることができるので圧倒的に有利です。(ちなみに、アイゼンと併用する際にはワカンの爪が上向きになるように履きます。)
なかでもワシのお薦めは『芦峅寺(あしくらじ)かんじき』(別名「立山かんじき」)。なんといってもその姿かたちが美しいところがイイ!これはもう芸術品と言えます。(言い過ぎか民芸品だなんていうと、なんだか安っぽい土産物みたいですが…。)使わないときは、部屋の壁にでも飾っておけば山の雰囲気満載です。
同じワカンでも、長野や岐阜・新潟などそれぞれの地方によって独自の形のものがあり、とりわけこの「芦峅寺かんじき」は、猟師から立山の山岳ガイドを通じて登山者へと愛され、そして受け継がれてきた長い歴史と風格を感じさせる逸品!素材はマンサク、クロモジといった粘り気のある丈夫な木を使っているそうで、意外と頑丈なのでハードに使えます。しかも、とってもリーズナブルな点もありがたい。相棒は、エキスパートオブジャパンというメーカーの『スノーシューズ』という名前のジュラルミン製のワカンを使っておりますが、機能重視(当たり前か)で、あまりにもそっけない顔をしているところがワシはどうしても好きになれません
ワカンジキの歴史はかなり古いらしく、なんと縄文時代にはすでにあったというのだから驚きです。そう考えると、現在に伝わる最も古い登山用具と言えるでしょうか。
ラッセルは辛い。ラッセルはキツい。そして、ラッセルは楽しい…。締まった雪面にサクサクとアイゼンで登高するのも爽快ですが、時々思い出したように、無性に、全身雪まみれになって思いっきりラッセルしてみたくなることがある。何も考えずに、ただただクッタクタになる快感…。こんなこと思うのは俺だけかな?
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